中国は世界最大の自動車市場です。BYDやテスラ、中国メーカーの躍進によって自動車保有台数は急増しています。
しかし、中国の大都市では「車を買えばすぐ乗れる」とは限りません。
実は北京や上海などでは、車そのものよりもナンバープレートを取得する方が難しい場合があります。
なぜ中国ではこのような制度が導入されているのでしょうか。この記事では、中国独特のナンバープレート規制について詳しく解説します。
中国のナンバープレート規制とは
ナンバープレート規制とは、自動車登録台数を制限する制度です。
中国全土で行われているわけではなく、主に人口が集中する大都市で導入されています。
対象となる代表的な都市は、
- 北京
- 上海
- 深圳
- 広州
- 天津
- 杭州
などです。
これらの都市では車を購入しても、ナンバープレート取得枠を確保できなければ公道を走れません。
日本人からすると少し驚く制度ですが、中国では珍しい話ではありません。
なぜナンバープレートを制限するのか
深刻な交通渋滞
中国の大都市は人口が1000万人を超えるケースも珍しくありません。
経済成長とともに自動車保有台数も急増し、道路容量を超えるレベルの渋滞が発生しました。
そのため都市部では、自動車台数そのものを抑える政策が必要になったのです。
大気汚染対策
中国では長年、大気汚染が社会問題になってきました。
近年は改善が進んでいるものの、自動車排ガスを抑制する政策は今も重要視されています。
ナンバープレート規制は環境政策の一部でもあります。
EV普及を後押しするため
現在の中国政府はEV(電気自動車)の普及を強力に進めています。
そのため多くの都市では、
- ガソリン車は取得困難
- EVは取得しやすい
という制度設計になっています。
これがBYDなど中国EVメーカーの成長を後押しした要因の一つといわれています。
北京では抽選に当たらないと乗れない
北京ではナンバープレート取得に抽選制度が導入されています。
ガソリン車のナンバーは発行数が制限されており、希望者は抽選に参加しなければなりません。
そのため、「車は買ったがナンバーが取れない」という状況が実際に発生します。
一方でEV向けの枠は比較的多く設定されており、政府のEV優遇政策が見て取れます。
上海ではナンバーが高額になる
上海は抽選ではなくオークション方式を採用しています。
つまり希望者同士が入札し、落札した人だけがナンバープレートを取得できます。
そのため時期によっては、「車両価格よりナンバー代の方が高い」というケースも話題になります。
中国人の間でも、上海のナンバープレートは高額な資産として認識されています。
EVだけ優遇される理由
中国のナンバープレート規制を理解するうえで重要なのが、EV優遇政策です。
多くの都市では、
- EVは抽選不要
- EVは待機期間が短い
- EVは取得コストが低い
といった優遇措置があります。
つまり同じ車を買うなら、ガソリン車よりEVの方が圧倒的に有利なのです。
これが中国でEV普及率が急上昇した理由の一つでもあります。
車を持たない人も増えている
こうした制度の影響もあり、中国の大都市では車を持たない人も少なくありません。
都市部では、
- 地下鉄
- 配車アプリ
- カーシェア
- デリバリーサービス
が発達しています。
そのため「無理に車を所有しなくても良い」と考える若者も増えています。
入会金・月会費0円で利用できるカーシェアサービス。車を所有せず、必要な時だけ利用したい人に人気です。
日本との違い
日本では車を購入し、車庫証明などの手続きを済ませれば基本的に登録できます。
しかし中国の一部大都市では、
- 車を買う
- ナンバーを取得する
という2つのハードルがあります。
そのため中国では、「どの車を買うか」よりも「ナンバーを取れるか」が重要になることもあります。
これは世界的に見ても珍しい制度です。
中国EVメーカーが強い理由の一つ
BYDをはじめとする中国EVメーカーが急成長した背景には、ナンバープレート規制もあります。
消費者から見ると、
ガソリン車
↓
ナンバー取得が難しい
EV
↓
取得しやすい
という状況だからです。
単純な価格競争だけではなく、制度そのものがEV普及を後押ししてきたのです。
まとめ
中国のナンバープレート規制は、渋滞対策・環境対策・EV普及政策を目的として導入されました。
北京では抽選、上海ではオークションと都市ごとに制度は異なりますが、共通しているのは「車を買っただけでは乗れない場合がある」という点です。
また、この制度は中国EV市場の拡大にも大きな影響を与えています。
中国の自動車市場を理解するには、BYDやテスラの販売台数だけでなく、こうした制度面にも注目する必要があるでしょう。
都市部では「所有しない移動手段」も広がっています。必要な時だけ車を使いたい人はカーシェアという選択肢もあります。

