中国といえばEVや太陽光パネルが注目されます。しかし、その裏側で中国経済を支えているのが「ナフサ」です。
一般の人にはあまり知られていませんが、ナフサはプラスチックや化学製品の原料となる重要な資源です。
近年、中国ではEV普及によってガソリン需要が伸び悩む一方、ナフサ需要はむしろ増加しています。なぜ中国は大量のナフサを必要としているのでしょうか。
この記事では、中国のナフサ事情と石油化学産業の実態をわかりやすく解説します。
ナフサとは何か
ナフサは原油を精製する際に得られる軽質油です。
ガソリンの原料にもなりますが、石油化学産業では化学製品の原料として利用されます。
ナフサから作られる代表的な製品は以下の通りです。
- プラスチック
- 合成繊維
- 合成ゴム
- 塗料
- 洗剤
- 医薬品原料
私たちの生活にある製品の多くが、最終的にはナフサから生まれています。
中国は世界有数のナフサ消費国
中国は世界最大の製造業国家です。
家電、自動車、電子機器、包装材、建材などを大量生産するため、膨大な石油化学原料を必要としています。
その中心がエチレンです。
エチレンはナフサを高温で分解する「ナフサクラッカー」で生産されます。
さらにエチレンから、
- ポリエチレン
- PET樹脂
- PVC
- 各種合成樹脂
などが作られます。
つまり、中国の工場群を支えている土台の一つがナフサなのです。
中国はなぜ大量のナフサを輸入するのか
中国は原油生産国ですが、国内需要を満たせるほどの資源はありません。
そのため原油だけでなくナフサも大量に輸入しています。
近年は新しい石油化学コンビナートの建設が相次ぎ、ナフサ需要がさらに拡大しています。
輸入先としては、
- ロシア
- UAE
- 韓国
- サウジアラビア
- クウェート
などが重要な供給元となっています。
中国はナフサを輸入し、それを国内で高付加価値の化学製品へ加工しているのです。
中国は日本より有利なのか
よく「中国はナフサに依存していない」と言われます。
しかし、これは正確ではありません。
中国も大量のナフサを消費しています。
ただし、日本と違うのは原料の選択肢が多いことです。
中国は、
- ナフサ
- LPG
- エタン
- 石炭化学
を組み合わせています。
特に中国は世界有数の石炭埋蔵国です。
石炭から化学原料を生産する「石炭化学」が発達しているため、日本より原料調達の柔軟性があります。
EV時代でもナフサ需要が増える理由
EVが増えると石油需要が減ると思われがちです。
しかし現実は少し違います。
EVには大量の樹脂部品が使われています。
例えば、
- ダッシュボード
- バンパー
- 配線被覆
- バッテリー周辺部品
- 内装パネル
などです。
これらの多くは石油化学製品です。
つまり、
ガソリン需要は減っても石油化学原料需要は減らない
という現象が起きています。
そのため中国ではEV産業の成長が、逆に石油化学産業を支える側面もあります。
中国で深刻化する過剰投資問題
一方で、中国の石油化学業界には課題もあります。
それが過剰投資です。
地方政府や国有企業が大型プラント建設を進めた結果、
- エチレン設備
- プロピレン設備
- 石化コンビナート
が急増しました。
その結果、
- 利益率低下
- 化学製品価格の下落
- 稼働率低下
が発生しています。
現在の中国石化業界では、需要拡大以上のペースで供給能力が増えていることが懸念されています。
エネルギー戦略を理解すると世界が見える
中国のナフサ事情を調べると、単なる石油の話ではなく、製造業や国家戦略の話につながります。
資源確保、物流、産業政策などを理解すると、中国経済の見え方も大きく変わります。
中国のナフサ需要を追うと、エネルギー価格や原油市場が世界経済に与える影響の大きさが見えてきます。資源価格の変動は企業業績や株価にも影響するため、投資に興味がある方はTOSSYで資産運用の基礎知識を学んでみるのもよいでしょう。
まとめ
中国はEV大国として注目されていますが、その裏では世界有数のナフサ消費国として石油化学産業を拡大しています。
ガソリン需要は伸び悩んでいても、プラスチックや化学素材への需要は依然として大きく、ナフサの重要性は今後も続くと考えられます。
一方で、中国では石化設備の過剰投資も進んでおり、供給過剰や収益悪化といった課題も抱えています。
中国経済を理解するうえでは、EVや半導体だけでなく、ナフサのような目立たない基礎原料にも注目することが重要です。

