台湾が再び「国際社会からの締め出し」を巡って中国と対立している。
今回の舞台はアフリカ東部のケニア。現地で開催された国際海洋フォーラム「アワ・オーシャン会議」に参加予定だった台湾代表団が、ケニア当局によって参加を阻止されたと台湾側が主張した。
台湾は「中国の圧力によるもの」と非難し、中国は従来通り「一つの中国」原則を理由に台湾の国際参加に反対している。
一見すると単なる外交トラブルに見える。しかし本質はもっと深い。
これは中国が世界各国に対して持つ経済力と外交力、そして台湾を巡る国際秩序そのものの問題だからだ。
台湾はなぜ国際会議に参加できないのか
多くの日本人は不思議に思うだろう。
台湾は2300万人以上が暮らし、民主的な選挙も行われている。
しかし国際社会では国家として認められていない場面が少なくない。
背景にあるのが中国の「一つの中国」原則だ。
中国政府は台湾を独立国家ではなく、中国の一部と位置付けている。
そのため中国と外交関係を持つ国は原則として台湾を国家として扱えない。
現在、国連加盟193か国のうち台湾と正式な外交関係を持つ国は十数か国しかない。
ケニアも中国と外交関係を持つ国の一つであり、中国の立場を支持している。
今回の騒動も、その延長線上にある。
なぜケニアは中国の要請を無視できないのか
ここで重要なのは、中国とケニアの関係だ。
中国は過去20年以上にわたりアフリカへ莫大な投資を続けてきた。
特にケニアでは、
- 鉄道建設
- 港湾整備
- 高速道路
- 発電設備
などを中国資本が支援してきた。
ケニア最大級のインフラ事業であるモンバサ・ナイロビ標準軌鉄道も中国資金で建設された。
つまりケニアにとって中国は単なる貿易相手ではない。
経済発展を支える重要なパートナーだ。
そのため台湾問題で中国の意向に逆らうインセンティブは極めて小さい。
台湾問題は理念だけで動いているのではない。
経済と外交の力学によって動いている。
中国はなぜ台湾の国際参加を警戒するのか
中国が最も恐れているのは「既成事実化」だ。
台湾が国際会議へ参加する。
台湾代表が演説する。
台湾政府が各国政府と交流する。
これが積み重なると世界が台湾を国家として認識し始める可能性がある。
中国から見れば、それは台湾独立への一歩になる。
だから中国は国際機関だけでなく、
- 国際会議
- 学術交流
- スポーツ大会
- NGO活動
まで含めて警戒している。
実際、台湾はWHO総会や国際民間航空機関などでも参加問題がたびたび発生している。
今回のケニア騒動は特殊な事件ではない。
中国外交の一貫した延長線上にある出来事だ。
日本は決して他人事ではない
日本にとっても無関係ではない。
台湾は日本にとって極めて重要な経済パートナーであり、半導体供給でも欠かせない存在だ。
さらに沖縄県与那国島から台湾までは約110kmしか離れていない。
台湾海峡の緊張が高まれば、
- 日本企業のサプライチェーン
- 半導体供給
- 海上輸送
- エネルギー輸入
に大きな影響が及ぶ可能性がある。
今回のニュースは単なる外交ニュースではない。
中国が世界各国にどれだけの影響力を持つのかを示す事例でもある。
今後、中国経済が減速しても、その外交的影響力がすぐに消えるわけではない。
むしろ台湾問題を巡る圧力は今後さらに強まる可能性が高い。
ケニアで起きた出来事は、その現実を改めて示したと言えるだろう。
台湾を理解するには現地を見るのも一つの方法
台湾問題はニュースで語られることが多いが、実際の台湾社会や現地の雰囲気は報道だけでは見えにくい。
近年は台湾旅行も再び活発化しており、政治ニュースとは異なる現地の暮らしや文化に触れることで理解が深まることもある。

