2026年6月18日、日経平均株価は終値で7万1053円49銭となり、史上初めて7万円の大台を突破した。2024年3月に4万円を超えてからわずか約2年3か月で7万円に到達した計算になる。
一見すると日本経済が絶好調になったように見える。しかし今回の株高を詳しく見ると、実際に起きているのは「日本復活」ではなく、AI時代における東アジアの勢力図変化である。
特に興味深いのは、日本、台湾、韓国の株式市場が急騰する一方で、中国だけが取り残されつつあることだ。
日経平均7万円は本当に日本経済の実力なのか
今回の上昇をけん引したのは幅広い企業ではない。
読売新聞の分析によると、4月末から6月中旬までの日経平均上昇分の半分以上を、
- 東京エレクトロン
- キオクシアホールディングス
- ソフトバンクグループ
の3銘柄が占めた。
つまり市場全体が成長しているというより、AI関連企業へ資金が集中している状態である。
1980年代のバブル期は銀行、不動産、建設、自動車など幅広い業種が上昇した。
しかし現在は違う。
AIという一つのテーマが市場全体を押し上げている。
なぜ台湾と韓国も同時に上昇しているのか
この現象は日本だけではない。
2026年に入り、
- 台湾加権指数
- 韓国総合株価指数
- 日経平均
はそろって大幅上昇している。
理由は単純だ。
世界のAI投資資金が東アジアへ流れ込んでいるからである。
台湾にはTSMCがある。
韓国にはSKハイニックスやサムスン電子がある。
日本には東京エレクトロンやアドバンテスト、キオクシアがある。
AIサーバーや半導体工場を建設するためには、東アジア企業の技術が不可欠になっている。
かつて世界の工場として注目された中国ではなく、今は東アジアの半導体サプライチェーンが主役になっている。
中国だけがAI相場に乗り切れない理由
ここで注目すべきなのが中国である。
中国にも半導体企業は存在する。
しかし米中対立の激化によって状況は大きく変わった。
米国は先端半導体やAIチップの対中輸出規制を強化している。
さらにオランダのASML製EUV露光装置も中国へ自由には輸出できない。
結果として中国企業は最先端AI半導体競争で不利な立場に置かれている。
中国政府は巨額補助金を投入しているが、台湾TSMCや韓国SKハイニックス、日本の半導体製造装置メーカーとの差は依然として大きい。
AIブーム最大の恩恵を受けているのは中国ではなく、日本、台湾、韓国なのである。
中国人投資家は日本株をどう見ているのか
中国国内では不動産不況が続いている。
かつて中国人の資産形成の中心だった住宅市場は低迷し、多くの家庭が含み損を抱えている。
中国株市場も期待ほど回復していない。
その結果、中国の投資家や富裕層の間では海外市場への関心が高まっている。
日本株に対する評価も変わりつつある。
以前は「低成長の日本」と見られていたが、AI関連企業の急成長によって「投資先として魅力がある市場」として再評価され始めている。
これは20年前、中国株ブームに熱狂していた日本人とは逆の現象だ。
急騰相場で置いていかれる個人投資家
ただし今回のAI相場には問題もある。
記事でも紹介されているように、キオクシア株は短期間で大幅上昇した。
2か月前なら300万円程度で購入できた株数を買うために、現在は900万円近い資金が必要になっている。
つまり相場上昇が続くほど、新規参加者は参入しにくくなる。
米国でNVIDIA株が急騰した時と同じ現象である。
利益を得るのは早くから保有していた投資家。
後から参入する個人投資家は高値掴みのリスクを抱える。
市場が盛り上がるほど格差も広がるのである。
東アジアの勝者が変わり始めている
東アジア観測所として今回のニュースを見るなら、本当に重要なのは日経平均7万円ではない。
重要なのは東アジアの勝ち組が変わり始めていることだ。
2010年代は中国経済が東アジア全体をけん引した。
しかし2020年代後半に入り、
- 台湾は最先端半導体
- 韓国はメモリー半導体
- 日本は製造装置と材料
という形でAI時代の中核を担うようになった。
一方、中国は不動産不況と米国の技術規制という二重の課題に直面している。
日経平均7万円突破は、日本株のニュースであると同時に、中国中心だった東アジア経済の構造が変わり始めたことを示す象徴的な出来事なのである。
AI時代の資産形成で重要になること
AI関連株の急騰は今後も続く可能性がある一方、値動きも大きくなりやすい。
こうした環境では個別株だけでなく、投資信託やETFを活用した分散投資の重要性も高まる。新NISA制度を利用して資産形成を考える人も増えており、松井証券のようなネット証券を活用しながら、東アジア経済やAI産業の変化を学びつつ長期投資を行うことが以前にも増して重要になっている。
日経平均7万円という数字に目を奪われがちだが、その裏で起きているのは単なる株高ではない。AIをめぐる世界競争の中で、日本、台湾、韓国、中国の立場が大きく変わり始めているのである。

