中国といえば、今や世界有数の「奶茶(ミルクティー)」大国だ。街を歩けば瑞幸咖啡や喜茶、奈雪的茶、霸王茶姫などの店舗が並び、若者は日常的に甘い飲み物を楽しんでいる。
それにもかかわらず、中国人観光客が日本に来ると、高級チョコレートや老舗菓子を大量に購入する光景は今も珍しくない。
なぜ中国人は奶茶を飲みながら、日本の高級チョコも買うのだろうか。
実はそこには、中国特有の消費文化と日本ブランドへの信頼が深く関係している。
奶茶大国なのにチョコレート市場はまだ発展途上

日本人にとってチョコレートはコンビニでもスーパーでも気軽に買える日常食品だ。
しかし中国では事情が違う。
中国の若者が日常的に消費している甘味の中心は、
- 奶茶
- フルーツティー
- 芋スイーツ
- 焼き菓子
- アイス
である。
そのため、中国ではチョコレートが日本ほど生活に浸透していない。
中国人が甘いものを欲しい時は、チョコではなく奶茶を選ぶケースが多い。
つまり、中国で日本の高級チョコが売れている理由は「チョコ好きだから」ではない。
別の価値が存在するのである。
中国人が買っているのはチョコではなく「信用」
日本人が見落としがちなのが、中国の食品市場には長年「信用」の問題が存在してきたことだ。
もちろん現在の中国食品は大きく改善している。
しかし消費者心理としては、
- 有名ブランド
- 老舗
- 受賞歴
- 日本製
- 百貨店品質
に対する信頼が依然として強い。
中国では小紅書(RED)やSNSで「日本旅行で買うべきお菓子」という情報が大量に共有されている。
そこでは単においしいだけでなく、
「失敗しない」
「贈り物に使える」
「安心感がある」
ことが重視される。
つまり中国人が日本の高級チョコを買うのは、味覚だけの問題ではない。
信用を買っているのである。
中国の「面子文化」と日本の高級チョコ
さらに重要なのが面子(メンツ)文化だ。
中国では贈り物が人間関係の潤滑油として今も大きな役割を持つ。
その際、安すぎるものは失礼。
高すぎるものは重い。
という難しいバランスが存在する。
そこで日本の高級チョコレートがちょうど良いポジションになる。
例えば、
- ロイズ
- 白い恋人
- 東京ばな奈
- 老舗チョコブランド
などは、「ちゃんと選んだ感」を演出できる。
しかも高級ブランド品ほど高価ではない。
中国の若者が好む「情緒消費」とも相性が良い。
中国の若者はなぜ甘いものにお金を使うのか
近年の中国では景気減速が続いている。
しかし消費そのものがなくなったわけではない。
むしろ若者は、
- 旅行
- 奶茶
- カフェ
- スイーツ
などの小さな贅沢にお金を使う傾向が強まっている。
これは中国で「情緒消費」と呼ばれる。
高級腕時計は買えない。
高級車も買えない。
しかし数千円のスイーツなら買える。
日本の高級チョコは、まさにそのポジションにある。
高すぎない。
でも特別感はある。
中国人が日本の高級チョコを買う背景には、こうした経済環境の変化も存在している。
日本人が知らない「老舗ブランド」の強さ
日本人は意外と気づいていないが、中国人は老舗ブランドを非常に重視する。
特に訪日客は、
- 創業年
- 受賞歴
- 百貨店実績
をよく見る。
そのため日本では知名度がそこまで高くなくても、中国人目線では魅力的に映るブランドがある。
その代表例の一つがサロンドロワイヤルだ。
1935年創業の老舗チョコレートメーカーであり、看板商品のピーカンナッツチョコレートは全国菓子大博覧会受賞歴も持つ。
中国人が好む
- 老舗
- ギフト向き
- 個包装
- 高級感
という条件を満たしている。
訪日土産や贈答品を探している人には非常に相性が良い商品と言える。
奶茶大国でも日本ブランドが消えない理由
中国では今後も奶茶市場が拡大していくだろう。
しかしそれは日本の高級チョコの需要を奪うことを意味しない。
なぜなら両者は競合していないからだ。
奶茶は日常消費。
日本の高級チョコは信頼消費。
中国人が日本の高級チョコを買うのは、甘いものが好きだからではない。
そこには、
- 信頼
- 面子
- 贈答文化
- 情緒消費
という中国特有の価値観が存在する。
そしてその価値観が続く限り、日本の老舗スイーツブランドは中国人にとって特別な存在であり続けるだろう。

