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中国人はなぜ芋スイーツにハマるのか? 「焼き芋大国」で起きた意外な高級化現象

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中国では近年、焼き芋や芋スイーツが静かなブームになっている。

日本人からすると少し不思議かもしれない。中国は世界最大級のサツマイモ生産国であり、焼き芋は昔から存在する身近な食べ物だからだ。

しかし今、中国の若者たちは焼き芋を単なるおやつとしてではなく、「健康的でおしゃれな高級スイーツ」として消費している。

芋泥(タロイモペースト)ラテ、焼き芋ブリュレ、紫芋チーズケーキ、焼き芋アイス――。

かつては庶民の食べ物だった芋が、なぜ中国で再評価されているのだろうか。

そこには、中国経済や消費文化の変化を象徴する興味深い背景がある。

目次

中国人は昔から芋を食べていた。それでもブームになる理由

中国のサツマイモ生産量は世界トップクラスだ。

農村部では長年にわたり主食の代替として利用されてきた。

特に1960~80年代を経験した世代にとって、紅薯(サツマイモ)は豊かな生活を象徴する食べ物ではない。

むしろ、

  • 安価な食料
  • 空腹を満たすもの
  • 農村の食べ物

という印象が強かった。

つまり現在の中国で起きていることは、「新しい食べ物が流行った」のではない。

昔の食べ物の価値が完全に書き換えられた現象なのである。

これは中国のコーヒーブームやキャンプブームとも共通する。

かつて豊かさの象徴だったものではなく、昔は見向きもされなかったものが新しい価値を与えられて再商品化されている。

健康志向が芋を「罪悪感の少ないスイーツ」に変えた

中国の若者の間では近年、

  • ダイエット
  • 低脂質
  • 腸活
  • 血糖値対策
  • フィットネス

への関心が急速に高まっている。

背景には肥満率上昇や生活習慣病への不安がある。

しかし若者は甘いものをやめたいわけではない。

そこで支持されたのが芋だった。

芋には、

  • 自然な甘さ
  • 食物繊維
  • 満腹感

というイメージがある。

実際の栄養価以上に、「ケーキよりは健康そう」という心理的価値が大きい。

日本でもプロテインやオートミールが流行ったように、中国では焼き芋が健康的なスイーツとして再評価されたのである。

日本人が知らない「新式茶飲」の巨大な影響

中国の芋ブームを理解するうえで欠かせないのが新式茶飲市場だ。

日本ではタピオカブームは一過性だった。

しかし中国では、

  • 喜茶
  • 奈雪的茶
  • 茶百道
  • 滬上阿姨

など巨大チェーンが全国展開している。

彼らは常に新しい素材を探している。

その結果、芋が飲み物になった。

  • 芋泥ラテ
  • 芋泥ミルクティー
  • 紫芋シェイク
  • 焼き芋フラッペ

などが次々に登場した。

ここが日本との大きな違いだ。

日本では焼き芋専門店が増えた。

中国では巨大飲料チェーンが市場を拡大した。

つまり中国の芋ブームは農業の話ではなく、外食産業と飲料産業の話でもある。

SNSが「田舎の食べ物」をおしゃれに変えた

中国の若者文化を語るうえで、小紅書(RED)の存在は無視できない。

小紅書では、

  • とろける焼き芋
  • 紫色の芋泥
  • 芋スイーツ断面

が非常に人気だ。

特に紫芋は写真映えする。

ここで重要なのは味ではない。

見た目だ。

中国では商品が売れる前に、まずSNSで拡散される。

つまり、美味しいから流行るではなく映えるから試される、という順番になる。

この構造は日本よりはるかに強い。

焼き芋は偶然にも、

  • 黄金色
  • 蜜感
  • 紫色

というSNS向きの特徴を持っていた。

その結果、農村の食べ物が都市のトレンド商品へ変化したのである。

日本と中国では高級化の方法が違う

日本の芋スイーツを見ると、

  • 紅はるか
  • 安納芋
  • シルクスイート

など品種名が前面に出てくる。

さらに、

  • 熟成技術
  • 産地
  • 生産者

が重視される。

一方、中国では違う。

中国で価値を生むのは、

  • 芋+チーズ
  • 芋+アイス
  • 芋+ミルクティー
  • 芋+スフレ

といった組み合わせだ。

日本は素材を磨く。

中国は商品化を磨く。

同じ芋でも発想が異なるのである。

なぜ中国企業は日本の紅はるかに注目するのか

ここで面白い現象が起きている。

中国国内で大量のサツマイモが生産されているにもかかわらず、日本の紅はるかへの関心が高まっているのだ。

理由は単純である。

中国の一般的なサツマイモと比べると、

  • 甘みが強い
  • ねっとり感がある
  • ブランド性がある

からだ。

中国市場では「日本産」という肩書きだけでは売れない。

しかし、「日本独自の熟成技術」「高糖度品種」という物語が加わると話は変わる。

実際、中国の消費者は食品そのものよりも、その背後にあるストーリーに価値を感じる傾向が強い。

日本人への影響

中国の芋スイーツブームは、日本の食品業界にも追い風になる可能性がある。

中国市場では今後も、

  • 健康志向
  • 低罪悪感スイーツ
  • 国産農産物
  • ギフト需要

が伸びる可能性が高い。

その中で日本の紅はるかや熟成焼き芋は差別化しやすい。

実際、中国の若者が求めているのは「甘いもの」ではない。

健康そうで、おしゃれで、SNSに載せられる甘いものである。

焼き芋はその条件を満たしてしまった。

だからこそ中国で高級スイーツ化が進んでいるのだ。

芋スイーツを試すなら

中国で起きている芋スイーツブームを見ていると、日本の焼き芋文化が持つ価値を改めて感じる。

特に九州産紅はるかを使用した「紅茶房(べにさぼう)」の焼き芋スイーツは、近年人気のねっとり系焼き芋の魅力を活かした商品として注目されている。

焼き芋チーズケーキや芋スイーツギフトは、日本国内でも人気が高く、芋スイーツ好きなら一度試してみる価値はあるだろう。

日本初九州産紅はるか焼き芋専門店 紅茶房

まとめ

中国の芋スイーツブームは、単なる食の流行ではない。

  • 健康志向の拡大
  • SNS文化
  • 新式茶飲市場
  • 地方農産物のブランド化

という中国社会の変化が重なった結果である。

かつて「貧しい時代の食べ物」だった焼き芋は、今や若者がカフェで楽しむ高級デザートになった。

この現象は、中国の消費社会がどこへ向かっているのかを示す象徴的な出来事と言えるだろう。

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この記事を書いた人

東アジア観測所は、中国・東アジアの経済、社会、テクノロジー、地政学を観察するメディアです。
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