中国人は健康意識が高い。
日本ではそう語られることが多い。しかし実際の中国を見てみると、単純に健康的な生活を送っているわけではない。
深夜まで働き、夜食を食べ、酒席に参加し、それでも健康診断の数値は気になる。そんな矛盾した生活の中で急成長しているのがサプリメント市場である。
近年の中国では「肝臓ケア」「尿酸値対策」「血糖値管理」といった数値改善系サプリが大きな人気を集めている。
なぜ中国人はこれほどサプリを買うのだろうか。
「不健康だからこそ健康にお金を使う」という逆説
日本人が想像する健康志向は、運動や食事改善を含めた生活習慣の見直しである。
しかし中国では少し事情が違う。
中国の若者の間では「朋克養生(パンク養生)」という言葉が流行している。
意味は簡単だ。
夜更かしをしながら健康茶を飲む。
火鍋を食べながらビタミン剤を飲む。
酒を飲みながら肝臓サプリを飲む。
つまり不健康な生活を続けながら健康商品で補おうとする考え方である。
これは笑い話ではない。
中国ECサイトを見ると、肝機能サポート商品や疲労回復サプリの売上は非常に大きい。
健康になるためではなく、今の生活を維持するためにサプリを使うのである。
なぜ中国では肝臓ケア需要が大きいのか
中国では仕事上の会食文化が今も根強い。
地方都市では特に酒席が人間関係の一部として機能している。
さらに外食比率も高い。
油の多い料理、深夜の食事、アルコール。
こうした生活習慣は肝機能や尿酸値に影響を与えやすい。
その結果、健康診断でALT値や尿酸値を気にする中高年が増えている。
実際、中国SNSでは
「尿酸値が高い」
「脂肪肝と診断された」
「健康診断で引っかかった」
といった投稿が珍しくない。
つまり肝臓ケア市場は中国特有の食文化や接待文化と密接につながっているのである。
中国で急増する「三高」不安
中国では昔から「三高」という言葉が使われる。
- 高血圧
- 高血糖
- 高脂血症
の三つを指す。
高齢化が進む中国では、この三高対策市場が急速に拡大している。
かつては栄養不足が問題だった国が、今では生活習慣病大国になりつつある。
経済成長によって豊かになった結果、今度は健康管理が新たな課題になったのである。
そのため中国の保健食品市場では、
- 血糖値
- 血圧
- 尿酸値
- 肝機能
といった数値改善系商品が人気カテゴリーとなっている。
日本と中国の決定的な違い
日本人もサプリを買う。
しかし購入理由には違いがある。
日本では不足栄養素の補給や美容目的が中心だ。
一方、中国では「健康診断の数値を改善したい」という目的が非常に強い。
背景には競争社会がある。
病気で働けなくなることへの不安。
医療費への不安。
老後への不安。
こうした不安が健康食品市場を支えている。
つまり中国のサプリ市場は、美容市場というより危機管理市場に近い。
日本企業にも追い風となる可能性
中国では食品安全問題が長年続いてきた。
そのため健康食品分野では日本ブランドへの信頼が高い。
実際、中国人観光客の爆買いでも、
- ビタミン剤
- 酵素
- 青汁
- 肝機能サポート商品
などが人気商品となってきた。
今後、中国の高齢化が進めば、この需要はさらに拡大する可能性が高い。
日本企業にとっては大きなビジネスチャンスともいえるだろう。
数値社会になった中国
中国のサプリブームは単なる健康ブームではない。
背景には経済成長による生活習慣病の増加、高齢化、過酷な労働環境、そして健康への不安が存在している。
中国人が買っているのはサプリそのものではない。
「健康診断の結果が悪化しない安心感」である。
だからこそ肝機能や尿酸値を訴求する商品市場が拡大している。
今後の中国では、医薬品と健康食品の境界がさらに曖昧になり、予防医療市場が大きく成長していく可能性が高い。

