日本人に「中国最大の餃子チェーンはどこか」と聞けば、多くの人は答えられないだろう。
そもそも中国には餃子の王将や大阪王将のような全国的な餃子チェーンがあるイメージすら薄い。
しかし実際には、中国には数千店舗規模を誇る巨大餃子チェーンが存在する。
その代表が袁記雲餃(袁记云饺)だ。
店舗数は4,000店規模とも言われ、中国最大級の餃子ブランドへ成長している。
ただし、日本人が想像する「餃子チェーン」とはかなり違う。
ここに中国市場を理解する重要なヒントが隠されている。
日本人が想像する餃子チェーンは中国には存在しない

日本で餃子チェーンと言えば、
- 餃子の王将
- 大阪王将
- ぎょうざの満洲
などを思い浮かべる。
特徴は共通している。
焼き餃子を中心に、
- 炒飯
- ラーメン
- 定食
を提供する外食店である。
つまり日本の餃子チェーンは「町中華チェーン」だ。
しかし中国最大手の袁記雲餃は違う。
店舗へ行くと、
- 水餃子
- ワンタン
- 生餃子
- テイクアウト商品
が中心である。
日本人が想像する餃子チェーンとは別物なのだ。
最大手はなぜ広州から生まれたのか
さらに面白いことがある。
餃子文化が強いのは北京や天津、東北地方など北方地域だ。
ところが袁記雲餃は広東省広州発祥である。
なぜだろうか。
多くの日本人は、「餃子文化が強い地域から最大手が生まれる」と考える。
しかし中国では逆だった。
餃子の本場ほど商売になりにくい
北方では餃子は家庭料理である。
春節になると家族総出で大量に包む。
普段から家庭で作る人も多い。
つまり、「餃子を買う」必要性が低い。
一方で広東省は事情が違う。
点心文化やワンタン文化は強いが、北方ほど家庭で餃子を作らない。
そこで、「手軽に買える餃子」が商品として成立した。
日本で言えば、家庭で毎日味噌を作る地域では味噌チェーンが育ちにくいが、都市部では市販品が売れるようなものだ。
袁記雲餃は外食店ではない

ここが最大のポイントである。
袁記雲餃は外食チェーンというより、「主食インフラ」に近い。
日本人にとって餃子はおかずだ。
しかし中国では餃子そのものが主食である。
だから袁記雲餃は、
- コンビニ
- 惣菜店
- 冷凍食品店
- 外食店
の中間のような存在になっている。
仕事帰りに餃子を買い、家で茹でる。
あるいはその場で食べる。
日本の王将とは発想そのものが違う。
なぜ急拡大できたのか
背景には中国社会の変化がある。
かつて中国では、
- 祖父母同居
- 専業主婦
- 家庭調理
が一般的だった。
しかし現在は、
- 共働き増加
- 一人暮らし増加
- 出前依存疲れ
が起きている。
毎日デリバリーも飽きる。
かといって自炊は面倒。
そこで、「半分家庭料理、半分外食」という袁記雲餃の立ち位置が支持された。
これは日本の冷凍餃子市場の成長とも似ているが、中国ではより大規模に進んでいる。
喜家徳との違い

中国の餃子業界にはもう一つの有力企業がある。
喜家徳(喜家德)だ。
こちらは北方発祥で、店内飲食型の水餃子レストランとして知られている。
両者の違いは明確だ。
喜家徳
- 店内飲食中心
- 品質重視
- 北方文化色が強い
袁記雲餃
- テイクアウト中心
- 加盟店主体
- 全国展開重視
つまり、
喜家徳はレストラン。
袁記雲餃は生活インフラ。
という違いがある。
実は大阪王将とも関係がある
日本人にとって興味深いのはここだ。
大阪王将は中国展開において袁記食品集団と提携している。
これは偶然ではない。
袁記側は中国式水餃子市場を持つ。
大阪王将は日本式焼き餃子市場を持つ。
競争するのではなく、
- 中国式水餃子
- 日本式焼き餃子
という異なる市場を狙っているのである。
日本との違いは「主食観」
中国最大の餃子チェーンを理解する鍵は主食観にある。
日本では、
餃子=おかず
である。
しかし中国では、
餃子=主食
である。
だから中国最大手は王将のような町中華にならなかった。
主食を提供するインフラ企業になった。
ここに中国と日本の根本的な違いがある。
今後どうなるのか
今後も袁記雲餃は拡大を続ける可能性が高い。
ただし課題もある。
加盟店の急増による品質低下や、中国外食業界特有の過当競争である。
それでも袁記雲餃は、「餃子店」ではなく、「家庭の主食供給網」として成長している。
日本人が王将を見る感覚では、この企業の強さは理解できない。
中国を理解するには、まず「餃子は主食である」という前提から考え直す必要があるのだ。
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